ICカードを利用した入退室システムの特徴とメリット・デメリット

ICカードを利用した入退室システムの特徴とメリット・デメリット

ICカード 入退室

 

入退室管理システムには、複数の認証方法が存在しています。中でも顔認証や指紋認証を始めとした生体認証の分野の開発が活発になっており、市場で目にする機会も増えてきています。
最も一般的な方法はパスワードです。そして企業において社員証と勤怠打刻で兼用できるのはICカードのため、法人会社で最も普及しているのはICカードです。

コスト面での手軽さからICカードによる入退室管理が普及しましたが、その認証方法には、いくつか課題もあります。そこで今回はICカード認証の特徴やなぜ人気なのかについて解説してきます。

ICカードを利用した入退室管理システム

IC(Integrated Circuit)カードによる入退室管理システムは、社員証やセキュリティカードを従業員が持ち歩き、部屋への入退室の際に認証デバイスにカードをかざすことで、扉の開錠ができるシステムです。

まずは、このシステムを構成する機器の特徴をご紹介していきます。

認証機の特徴

ICカード用の認証機は、カードリーダーと呼ばれることもあります。
現在は、スキャンやタッチが不要な非接触型のカードリーダーが多く出回っており、入退室製品以外にも電子マネー決済などにも利用されています。
この「非接触」とは、直接認証機にICカードを当てることなく、一定距離までICカードを認証機に近づけるだけで認証が可能となる仕組みを意味します。直接触れる必要がないため、感染症対策にも有効な手法の一つです。
また、認証機は、製品単体で機能するスタンドアローン型もあれば、別途、制御盤等と呼ばれる複数の認証機を集約して管理する装置が必要な製品もあります。

ICカードの特徴

ICカードでの認証に対応した製品は多数存在しますが、ICカード自体の種類はメインで使われているものが限られており、大きく分けて2種類となります。
1種類目が、FeliCa(フェリカ)です。FeliCaは、Suica等の交通系カードや電子マネーなどの規格として、日本国内で最も使用されているタイプです。
2種類目が、Mifare(マイフェア)です。Mifareは、非接触型ICカードの国際規格として標準化されており、FeliCaに比べ、安価なこともあり、世界で最も普及されているICカードです。
世界的にはMifareの使用率が高いですが、日本の場合はFeliCaの使用率が高くなっています。
FeliCaを使用したい場合は、FeliCaに対応した認証機を、Mifareを使用したい場合は、Mifareに対応した認証機を使用する必要があります。また、ICカードが不足した場合、追加で発注する際にも、どちらのカードを利用しているか事前に確認しておく必要があります。

入退室管理をICカードで行うメリット

ICカードを使用した入退室管理システムについて解説してきましたが、このシステムにはメリット・デメリットが存在します。まずは、メリットから解説していきます。
主なメリットは以下の3つです。
コストメリット
社員証として併用可能
扱いやすい

コストを抑えることが可能

ICカードを利用した入退室管理システムの場合、指紋や顔認証といった生体認証に比べ、認証用の製品が安価なため、導入コストを抑えることができます。コスト面を考えて、ICカードでの認証方法を採用している企業は非常に多いです。

社員証としても使用可能

社員証

ICカードの場合は、社員証としても使用できます。実際に、社員証と入退室システム用のICカードを同じにしている企業は多くいらっしゃいます。社員証と一緒にすることで、別途ICカードを持ち歩く必要もなくなり、手間を減らすことができます。

癖がなく、誰でも利用しやすい

ICカードによる認証システムは、駅の改札など日常的にICカードを利用していることや、入退室管理システムとして最も普及している認証方法となっている点から、誰にでも使いやすい認証方法となっており、導入後の運用も比較的スムーズです。生体認証の場合ですと、まだまだ普及率が低く、使用した経験のある人も多くないため、初めて生体認証を利用する際に認証の仕方に戸惑う人が出てくる場合があります。普及率が高いことが、誰にも使いやすいメリットにつながっています。

入退室管理をICカードで行うデメリット

ICカードで入退室管理を行うメリットをご紹介してきましたが、続いてデメリットについて解説していきます。
主なデメリットは以下の3つです。
紛失や携帯忘れのリスク
第3者による悪用のリスク
管理コストの問題

ICカードを紛失・忘れる恐れがある

忘れ物 紛失

ICカードによる認証方法の場合、認証するためのICカード自体を紛失したり、持ち歩くのを忘れてしまったりする恐れがあります。忘れてしまった場合は、社内で申請を出して仮のICカードを借りる等の方法で対応できますが、紛失してしまった場合は、部外者にカードを悪用される恐れがあります。入退室管理システムの設定を変更することで、紛失したカードを利用できなくすることができますが、設定変更やカードの再発行にも手間がかかります。

ICカードは、ICカードさえあれば「誰でも」利用できてしまう

怪しい取引

ICカードによる認証方法は、カード自体を持っていれば誰でも利用できてしまうという問題点があります。例えば、重要書類が管理されている部屋があり、入退室管理システムによってセキュリティレベルを設定し、役員しか入れないように設定されているとします。この部屋は、セキュリティレベルが他の部屋と比べ高く設定されていますが、役員の持つICカードがあれば、誰でも出入りできてしまうという危うさも持ち合わせています。無断でICカードを使用できる可能性、ICカードを盗まれる可能性を考えるとセキュリティ的に問題を抱えているとも考えられます。

管理に手間がかかる

ICカードの場合は、新入社員や中途社員が入ってきた場合、新しくICカードを発行する必要があります。また、従業員がICカードを紛失してしまった場合には、悪用対策で使っていたICカードのデータを削除し、利用できないようにする作業と新しくICカードを発行する作業が発生します。また、ICカードが足りなくなれば、カード自体を発注するコストも発生してしまいます。

まとめ

今回の要点は以下の通りです。
現在は非接触ICカードリーダーが主流である。
メインで使用されているICカードは大きく分けて2種類あり、世界的にはMifare、日本ではFeliCaの普及率が高い。
ICカードを利用した入退室管理システムのメリットは、導入コストを抑えられる点、ICカードを社員証としても利用できる点、誰でも使用しやすい点などがある。
ICカードを利用した入退室管理システムのデメリットは、ICカードの紛失の可能性がある点、ICカードさえあれば認証可能なためセキュリティ面に不安が残る点、管理に手間がかかる点などがある。

導入コストを重視してカードリーダーによる入退室管理システムを利用している企業が多いですが、メリット・デメリットを理解して導入することをおすすめしています。メリット・デメリットを加味した場合、生体認証等のその他の認証方法が適している場合があります。
特に生体認証に関しては当社が力を入れている分野になりますので、入退室管理に関してお困りの場合はお気軽にお問合せいただければと思います。

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