普段はついている防犯カメラ自体をあまり意識して見ることはないと思いますが、あえて意識を向けて見てみると、大きさや形に違いがあるのが分かります。
いざ実際に防犯カメラを探してみようとなった時、多くの人がインターネットで探すかと思いますが、様々なメーカー・種類・形・馴染みのない機能が並んでいて、何を基準に決めればいいのか分からなくなるのではないでしょうか。
前回の選び方①では、防犯カメラを選ぶ前に決めておくことについてご紹介いたしましたが、実際に防犯カメラを選ぶ上で知っておくと良い用語と性能の目安について、初心者の方でも分かるように②で解説していきます。
よく出てくる防犯カメラ用語と性能の目安
防犯カメラの導入を検討しているお客様から「カタログや仕様書の見方がわからない」、「用語がよくわからない」というお問い合わせをいただきます。そこでまず、知っておくと防犯カメラ選びにも役に立つようなよく出てくる用語と性能の目安をご紹介いたします。
①画素数
そもそもデジタルデータとしての画像は、画面上に無数に存在する点によって表現されていて、この点をピクセル(画素)と呼んでいます。
画素数とはピクセルの総数のことです。ピクセルが横に1280個、縦に960個、敷き詰めることのできるカメラを例にすると、ピクセルの総数(1280×960)は約120万個です。
これが画素数であり、このカメラは120万画素あるということになります。
画素数は数値が大きい程、映像がきれいになります。現在主流となっているフルハイビジョン(フルHD、FHD、2K)は200万画素、ハイビジョン(HD)は100万画素です。また最近よく聞く4Kは800万画素となっています。
防犯カメラの場合、録画をするのが前提となっているため、画素数が増えると、録画に必要なデータ容量が増えてしまうので注意が必要なこともあります。現在は200万画素が一般的な基準となっています。
また類似した用語で、解像度というものがあります。
解像度は、1920×1080pなどと表示されますが、これは横に映像を構成する点が1920個、縦に1080個存在することを表しています。この横・縦の数値を掛け合わせた数値が画素数となっています。
画素数が多い程画質はよくなりますが、その分コストと映像を保存するのに必要なデータ容量も増えますので、防犯用など一般的な用途の場合であれば200万画素程度がおすすめです。
②画角
画角とは、カメラで撮影できる範囲のことです。画角が大きい程より広い範囲を映すことができ、画角が小さい程範囲が狭くなります。画角には垂直画角(上下の幅)と水平画角(左右の幅)があり、一般的に製品の仕様書や製品紹介には水平画角が表記されています。またズーム機能付きのカメラの画角は、105°~35°と表記されています。これは、最小ズームの場合は105°、最大ズームの時は35°ということを意味しています。
防犯カメラを部屋の四隅に設置をする場合は、90°が目安になりますが、ある程度設置位置が決まっているのであれば、その位置に防犯カメラを設置した時にどのくらいの範囲まで映像に映したいかを考えて決めるのが良いです。
③赤外線照射(IR)
赤外線照射機能とは、暗闇で映像を撮影する機能です。映像はカラーではなく白黒になります。赤外線はIR(infraredの略)または暗視などと表記されていることがあります。
犯罪が起こりやすいのは夜間や明かりが少ない場所のため、防犯の側面においてなくてはならない機能となっています。
IR照射時の夜間の画像
④固定レンズとバリフォーカルレンズ
防犯カメラには固定レンズを使用しているものとバリフォーカルレンズを使用しているものがあります。この違いは、ズームができるかどうかです。また、バリフォーカルレンズの中にも手動と電動のものがあり、手動の場合は防犯カメラについている調整器を直接操作してズーム機能を調整することができ、電動の場合は、カメラが接続されている録画機やPCなどからズームの調整が可能になります。
一般的なオフィスや住宅であれば固定レンズのカメラが使用されるケースが多いです。もちろん固定レンズの場合の方が、コストが低いという理由もありますが、3m程度の天井であればズームをする。必要がないからです。電動レンズタイプの防犯カメラは、工場などや大型施設などの天井が高い場所や屋外に設置される傾向があります。
⑤IP66、IP67
IP66、IP67とは防塵性能と防水性能の規格を表しています。身近なものだとiPhoneにもこの規格は使われており、左側の数字は防塵性能を0~6の7段階で表しており、右側の数字が1~8の8段階で防水性能を表しています。
防塵性能6は「粉塵が内部に侵入しない」と定義されています。また、防水性能6は「あらゆる方向からの暴噴流に対して保護されている」と定義されており、防水性能7は「規定の圧力、時間で水中に沈めても影響がないように保護されている」と定義されています。
特に屋外への防犯カメラの設置をする際には、雨風に晒される可能性があるのでこの性能を注意して見る必要があります。防犯カメラはIP66、IP67が一般的な水準となっています。
⑥IK10
IK10とは衝撃耐性の規格を表しています。衝撃耐性とは、電気機器の対衝撃性能を示す等級のことでIKの後に続く数値で10段階に分類されています。例を挙げると、IK10であれば、40cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐えることが可能で、IK10の防犯カメラをおすすめしています。
⑦PoE
PoEとはPower over Ethernetの略でLANケーブルを経由して行う電源供給のことです。これはIPカメラ(ネットワークカメラ)の特徴的な機能のひとつです。従来防犯カメラは別途電源を取る必要があったのですが、その必要がなくなり、一般的に防犯カメラとレコーダー(録画機)をLANケーブルで接続した時に、LANケーブルを通して映像データのやり取りをおこなうだけでなく、録画機から防犯カメラに電源も供給することができる機能となっています。そのため、この機能を使うのであれば、PoE対応と書いてある防犯カメラと録画機(またはPoEHUB)がセットとなるので注意が必要です。
⑧ネットワークカメラ
ネットワークカメラとは、インターネットに接続することができるカメラです。各カメラがIPアドレスを保持することが可能なためIPカメラとも呼ばれます。PoE機能を持っているのもこのネットワークカメラになります。
また、主にインターネットで販売されているカメラはネットワークカメラが多いようです。
◆主な特徴◆
・ケーブル伝送による映像の劣化がしにくい
・アナログカメラより比較的映像がきれい
・機器自体のコストはアナログカメラより高い
⑨アナログカメラ
アナログカメラとは、一般的にテレビなどでも使用される同軸ケーブルを使用してアナログ情報の出力を行うカメラです。アナログカメラは、CCTVカメラ(閉回路テレビカメラ)とも呼ばれています。
従来は、2線式と呼ばれる映像信号を伝送する用の同軸ケーブルと電源を供給する同軸ケーブルの2つを用意する必要があるタイプと1線式と呼ばれ、カメラとレコーダーの間に(カメラコントローラーとも呼ばれる)電源ユニットを挟むことで、1本の同軸ケーブルで電源と映像を一緒に伝送できるタイプの2種類がありました。最近では、PoC(Power Over Coaxial)と呼ばれる電源ユニットが不要で1本の同軸ケーブルに映像信号と電源を一緒に直接伝送できる機能を搭載しているレコーダーとそれに対応したアナログカメラも増えてきています。
◆主な特徴◆
・ネットワークカメラと比べると長い配線ができる
・映像をリアルタイムでモニタリングする時の遅延が少ない
・機器自体のコストがネットワークカメラより安い
まとめ
今回の要点はこちらです。
・防犯カメラを選ぶ前によく出てくる用語について知っておくと良い
・特徴を見比べてネットワークカメラかアナログカメラか選ぶ
注意しなければいけないのが、防犯カメラを選んだら終わりではないということです。防犯カメラで撮影した録画映像の保存方法を決めることが必要になりますし、別途付帯機器が必要になる場合もあります。
詳しくは別の記事で解説をしていきますので、気になった方はそちらもご覧ください。