メーカー選びや製品選びのポイント

〜実は重要ではない!?〜

メーカー選びや製品選びのポイント

メーカーの数とOEMとは

意外にもセキュリティメーカーさんの数は沢⼭あります。カメラシステムのみを作っているメーカーや、⼊退出システムのみを作っている
メーカー、両⽅を作っているメーカーと違いがあります。カメラシステムの国内で良く知られているメーカーは、知名度が⾼いパナソニックさん
三菱電機さん、TOAさん、ビクターさんなどです。⼊退出システムも、やはりパナソニックさん、三菱電機さんをはじめ、クマヒラさん、
ホーチキさん、アートさんなど、数社の有名メーカーさんが存在しています。

そして更に海外のメーカーも多く存在しています。海外の有名なメーカーとしては、ヨーロッパではアクシスさん、ボッシュさんなどで
アジア地域ではハイクビジョンさん、ダーファさんなどが存在し、海外メーカーが世界シェア率の上位を占めます。
毎年3⽉には東京のビックサイトで「セキュリティショー」も開催され、多数のメーカーが出展しますので、⾒てみるのも楽しいと思います。

メーカーさんが複数あるなかで各メーカーさんにとっては「得意」と「不得意」があります。そこについて少し紹介したいと思います。
防犯カメラ分野を例にすると、システムの基本は映像を映す「カメラ本体」と録画を保存する「録画機本体」の2つに分かれています。
海外メーカーではカメラ本体だけを製造しているケース、録画機本体だけを製造しているケースがあります。また、どちらも製造している
メーカーもあります。セキュリティ製品としても、映像システムを主としているケース、⼊退出を主としているケースなどは⽇本のメーカーにも
⾒受けられます。他にもソフトウェアだけを開発しているメーカーや、⽣体認証に重点を置いているメーカーもあります。

例えば、カメラのみ製造しているメーカーは、撮影する時のオートフォーカス/光学ズーム、画像の⾒た⽬を制御するアルゴリズム、
4K、20MP以上の超⾼解像度カメラの開発を得意とし、さらに検知機能、認識機能、識別機能に特化したもの、パノラマカメラ、
防爆仕様といった特殊な環境下で使⽤することが可能な製品があります。ただし、基本的にセキュリティシステムを構築する上では、
録画機は無くてはならない存在です。そのためカメラのみ製造しているメーカーはどうしても他社製品を利⽤する必要が出てきます。

カメラ製品のインターフェースには標準化規格が存在しますが、他メーカー製品同⼠の連動を⾏うと、折⾓の⾼機能カメラでも
他社製品が対応しておらず性能が制限される場合がある。という弱点などもあります。

技術⼒の競争は主に⼆つに分かれます。⼀つは性能の向上化です。例えば、より綺麗な映像を再現する性能や録画データの圧縮率を上げ、
録画容量を軽減するなどです。従来は⾼性能で⾼価とされた技術を効率性や⽣産性を向上させることで、標準機能化したり、⼈の⼿で
調整が必要だった機能を⾃動化したり、より簡単で低価格、そして安定して稼働する製品作りを⽬指して開発を⾏っています。

そしてもう⼀つの競争が今までにない新テクノロジーの開発です。近年では、⽇本を含む各国の都市が抱える課題を解決することや、
新規事業の創出、例えば【⼈⼯知能(AI)】、【ビッグデータ】、【IoT(Internet of Things)】などの次世代の情報通信技術を
利⽤しセキュリティのみならず交通・観光・防災・健康・医療・エネルギー・環境といった、いわゆる【スマートシティ化】に使⽤可能な
技術開発を⾏っています。 そのスマートシティ化に必要不可⽋なソリューションが【映像システム】です。

従来の抑⽌・監視や有事の際の証拠として映像を使⽤するだけでなく、映像をビッグデータとして活⽤し、様々な課題や事件の解決、
⽣活の快適性、新しい価値をも提供しています。各メーカーはそれぞれの得意分野で、創造性にあふれた⾰新的な技術を開発し続けています。

もっとも多いのがOEMで販売している会社さんかもしれません。OEMとは オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリング
(Original Equipment Manufacturing)の略で、メーカーより性能や数量を約束して⼀度に⼤量に購⼊して販売するやり⽅です。
消費者には⾃社で製造しているように⾒せる事が可能なため、信⽤⼒がつくと思います。

OEMで販売している強みは、価格を⾃由に設定できるので低価格で販売している会社が多いと思われます。
またOEMを提供しているメーカーでもっとも多いのは、台湾・韓国・中国のアジア圏メーカーです。
しかし近年では製造元のメーカーの⽣産⼒や技術⼒が向上し、メーカー同⼠の技術⼒競争も激しくなっている事や、メーカー⾃体が
社名が⼊った⾃社ブランドの販売に⼒を⼊れるように変化しているため、⼀度の数量を⼤きくされたり、製品性能を省かれたり、
保証内容やサポート内容が⼿厚くなく、価格も⾃社ブランド価格より⾼く設定されるケースが⾒受けられます。
その為にOEM製品で販売している会社さんは苦労している側⾯もあります。

何故メーカー選びは重要ではないのか

国内メーカーと海外メーカーの違いはたくさんあります。また海外メーカー同⼠も国によっての⽂化や習慣に基づいて製品開発がされているため、
⾮常にユニークな製品もあります。国内メーカーの⼤きなポイントの1つに、1つの機種をとても長く生産している点があると思います。5年・7年、
更に10年間同じ製品。というものもあるぐらい、ゆっくりとしています。もちろん部分的なマイナーチェンジはありますが、⻑く作られています。
よって故障品のパーツなども⻑く保持している傾向が強く、⽇本⼈向け。という⾔葉が当てはまります。

海外メーカーの⼤きなポイントは、「挑戦」と⾔う⾔葉が当てはまり、次々と製品を開発しています。毎年新しい技術を開発してはすぐに
製品に転換する。という姿勢ですが、売れなければ直ぐに販売が終了してしまいます。同じ型番の製品でも数ヶ⽉違うだけで新機能が
追加されたり、不具合を修正したアップグレードが早く⾏われます。

価格帯は北⽶・ヨーロッパは⽇本⼈から⾒ると⾼く、⽇本メーカーは中間、台湾・韓国・中国は安い傾向にあります。各国によって技術⼒や
治安も違う為、地域⾊が反映された製品種類は⾒ていて⼤変興味深く、⾯⽩いです。

なぜ、「メーカー選びや製品選びが重要視されていないのか」 について考えると、業界の構造と購⼊者の購⼊⼼理がそうさせていると思われます。
いざ導⼊検討となると、普段接していない分野で、セキュリティシステムの知識やネットワークの知識、取付や保守など、必要な知識は実に幅広く、
⾃分で調べることは⾮常に難しい事だからです。そのため、「知り合いに相談してみよう」となり、付き合いのある内装業者さんや警備会社さんなど
普段接している会社へ聞く事が多いと思います。また近年ではインターネットの普及で気軽に調べられますが、結局は「ネットで調べてもよく
分からないので、リスクを考えると安価な製品を選択しておこう」と保守的な考えになりやすいです。

また、供給側のメーカーが代理店制度を採⽤し、販売店を募り、経由して販売しているために消費者はメーカーから直接購⼊したり、
技術質問をする⽂化がそもそも無く、購入先に聞く文化があります。消費者は結果として複数社の販売店に⾒積依頼を出し、最終的には
同メーカー製品の価格競争が始まります。消費者が依頼する複数社の販売店は、セキュテリィシステムの専⾨なのか。については余り
加味されていないケースが多いと思います。そのため、メーカー選びや製品選びは重要視されず、価格が優先される構造になってしまう。と
考えられます。

例えば、防犯カメラを選ぶ場合、消費者は「画素数」のみで考えている⽅が⾮常に多くいます。「画素数」は製品選びする条件のうちの⼀つに
過ぎません。製品選定条件は様々ありますが、その中でも代表的なポイントがあります。

・⽅式の種類
カメラは「ネットワークカメラ」と「アナログカメラ」に分かれ、「ネットワークカメラ」はLANケーブルを使⽤しデジタルビデオ信号を使⽤します。
「アナログカメラ」は同軸ケーブルを使⽤し、アナログ信号を使⽤します。「ネットワークカメラ」は⾃⾝にIPアドレスを持つため、様々な
システム構築が可能となりますが、ある程度のネットワーク知識が必要です。「アナログカメラ」は名前の通り、アナログ信号を使⽤するため、
技術や製品の機能が古いイメージがあるかもしれませんが、現在では⾼解像度や、検知機能なども備わっているため、ネットワークカメラと
⽐較しても同程度品質のメーカーもあります。価格は全体的にアナログカメラのほうが安いため、少ない台数を要望される場合はおすすめです。

・カメラレンズの種類
レンズは「単焦点レンズ」、「バリフォーカルレンズ」、「⿂眼レンズ」に分かれています。
「単焦点レンズ」は固定レンズ・ボードレンズとも呼ばれる焦点距離が⼀定のレンズです。画⾓が変更できませんが、レンズミリ数が短いほど
画⾓が広いため、広範囲を映すのに適しています。またコンパクトなサイズなので設置場所を選ばずに⼀定の距離内で俯瞰して広く撮影する
ことが得意です。
「バリフォーカルレンズ」は焦点距離が⾃由に変更できるレンズです。従来では⼿動で焦点調整することが多かったですが、現在は電動が
主流となり、パソコンや録画機から簡単操作ができます。撮影距離は最⼤30mまで対応可能なものもあります。
「⿂眼レンズ」は360度の全⽅位映像を撮影するレンズです。
設置する⽬的・環境や条件によってカメラレンズの種類を柔軟に変えることが⼤切です。

・カメラの形
外観は主に「バレットタイプ」、「ドームタイプ」、「PTZタイプ」があります。近年はレンズ⼀体型が主流です。
「バレットタイプ」とは筒型で主に屋外に使⽤されるため防⽔防塵対応が多く、
「ドームタイプ」は「半球タイプ」とも呼ばれ、天井に取付することが多く、⾒た⽬の威圧感を軽減できるため
⼀般的に屋内で使⽤されます。「PTZタイプ」は上下・左右に動き、⾼倍率のズーム機能が備わっています。

以上のことから、メーカー選びが重要ではない理由は、業界の構造や商流構造、消費者への情報不⾜などが前提にあるものの、
「販売する会社の⼒が⼤きく左右する状態」であることが挙げられます。決してメーカー選びをしなくて良い。という意味でありません。
できるだけ意識し、確認することは⼤切ですが、沢⼭の情報を整理して理解するのは難しいことです。そのため、メーカー選びより
⼤切なのは「購⼊先選び」ということになると思います。

以上が簡単な概要ですが、もっとセキュリティ製品を活⽤して頂く為には、やはり購⼊者の皆さんが積極的に参加して頂くことだと思います。
当社では皆様がもっと気軽に、簡単にセキュリティシステムを活⽤していただき、事業の安⼼・安全の確⽴・管理・コスト削減など様々な
⽤途に役⽴てて頂きたく、情報を発信して参ります。