最近では、防犯カメラをインターネットに接続して、スマホやタブレットなどで離れた場所から手軽に映像を確認する運用が増えていますが便利な反面、リスクもあります。
今回は、リスクへの対策として防犯カメラのパスワード設定の重要性についてご紹介していきたいと思います。
どうしてパスワードの設定が重要なのか?
スマートフォンやタブレットが普及したことで、防犯カメラの映像を離れた場所からでも確認できる遠隔監視を利用したサービスが増えています。
便利な反面、インターネットに繋げることで、第三者からアクセスされてしまうリスクもあるため、パスワードの設定が重要となります。どのようなリスクがあるのかご紹介します。
防犯カメラの映像が流出してしまうかもしれないリスク
2016年、ロシアのとあるサイト上で世界中の防犯カメラの映像が流出しました。
日本全国に設置されたカメラも含まれ、その中には自宅や施設内と思われる映像もあり、大きなニュースになりました。
このサイトには、「カメラをハッキングしているのではなく、パスワード保護がないカメラだけをリスト化している」と書かれており、パスワードが未設定または初期状態のまま使用していたことによりアクセスされていると推測されています。
現在では、パスワードの設定が必須になっている製品も増えてきていますが、必ずパスワードを設定することが大切です。またメーカーや製品によって初期パスワードが設定されている場合がありますが、この初期パスワードはネットに流通してしまっている場合もあるので、必ず変更して使用することが重要です。
「123456」「password」など簡単なパスワードはリスクが非常に高い
パスワード管理ツールを提供するパナマのセキュリティ企業のNord Securityが、2021年で最も使われたパスワードのランキングを発表しています。世界でのパスワード使用率が最も高いのが「123456」で1億317万552回使用されており、日本での1位は「password」で17万7844回使用されていました。
日本のその他のパスワードは「123456」「123456789」などの数字の羅列や、「1qaz2wsx」「asdfghjk」「qwertyuiop」などキーボード入力で覚えやすい並びになっているパターン、「takahiro」「yamamoto」などの人名、「doraemon」「baseball」などキャラクター名や単語などが使用されています。
これらのパスワードをクラッキングするのにかかる時間の目安も公開しており、「password」や「123456」は1秒未満とされています。
この使用回数は、あくまでNord Security社のパスワード管理ツールを使用している人の使用数なので、この他にも似たようなパスワードを設定している人は多くいることが予想されます。
分かりやすいパスワードは、他の人も使用している可能性が高く、簡単に突破されてしまうリスクも高いです。
参照:Top 200 Most Common Password List 2021 | NordPass
パスワード管理者としての責任
仮に防犯カメラの映像が流出してしまった場合、防犯カメラを設置している管理者に対しても責任が発生し、問題となります。
また、不正アクセス禁止法では、不正アクセスとは「アクセス制御機能に係る他人の識別符号(パスワード・IDなど)を入力して当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為」と定義されています。
そのため、「1234」など誰でも考えられるような簡単なパスワードでは、「アクセス管理者と他人を識別することができるのか」と専門家にも疑問視がされており、パスワードを設定している管理側の責任が問われる可能性もあります。
特に、防犯カメラの映像データは、個人情報を含んでいる場合もありますので、厳重に管理する必要があります。
防犯カメラのパスワードの設定と管理について
ここまでは、パスワード設定の重要性について話をしてきましたが、次に、防犯カメラのパスワードを設定する際にどうようなことに気を付ければいいのかご紹介していきます。
パスワード設定時に気を付けること
・パスワードを必ず設定すること
・初期パスワードが設定されている場合は、必ず変更して使用すること
・数字の羅列・キーボードの並びやスマホの入力画面の並びから簡単に類推できるものは避けること
・名前、誕生日、電話番号などの個人情報から類推できるものは避けること
・英単語などをそのまま使用しないこと
・最低8文字以上でアルファベットと数字を混在させること
パスワードを入力する頻度にもよりますが、どんなパスワードがいいか考えることが難しい場合は、パスワード生成ツールなどを使用するのも一つの手です。
パスワードを管理する上での注意点
防犯カメラのパスワードを設定後は管理をする必要があります。
まずは、パスワード管理の責任者を立て、どのように管理するのか、どの人までパスワードの情報を公開するのか決めましょう。
防犯カメラの場合、「導入から暫く経ってから問題が発生し、過去の映像を確認したいがパスワードが分からなくなってしまって操作ができない」というケースが多々ありますので、パスワードの保管先も決めておきましょう。
防犯カメラの情報は個人情報を含むケースが多いので、保管先には、アクセス権限をかけ管理することがおすすめです。
また、定期的にパスワードを変更する場合には、現在のパスワードの情報をしっかり記録しておくことも大切です。
まとめ
今回のまとめはこちらです。
・スマホやタブレットで防犯カメラの映像が確認できる遠隔監視は便利だが、第三者にアクセスされるリスクもある
・不正アクセス対策として、パスワードの設定が重要
・初期パスワードや「123456」「password」など誰でも思いつくようなパスワードはリスクが高い
・パスワードを管理する責任者を立て、パスワードの保管先も明確にしておくことが大切